無口なあの子と不良なあの人
「ほいよ!」

トンッと着地し、男の子に風船を渡す。

「お兄ちゃんありがとう!」

「おーぅ!」

男の子は手を振って公園を出ていった。

残されたのは私とイケメン。

…あ、そんな場合じゃない。

早く学校行かないと。

靴下を履いているとイケメンに話しかけられた。

「ね、君俺と同じ高校だよね?何年?」

「三年生。」

「お。同い年ー。俺は神崎遊斗(かんざきゆうと)。君は?」

「笠原玲(かさはられい)。」

「玲ちゃんか。よろしくねー。」

「よろしく。」

馴れ馴れしいな。イケメン。

イケメンスマイルが眩しいです。神崎君。

何故か成り行きで神崎君と登校する事になった。何故。

無口なんです。気付いて下さい神崎君。先に行って下さい。

でもさすがイケメン。

学校に着くまで会話が途切れる事が無かった。

え、もはやイケメン関係ない?

いやあるよ。イケメンスキルだよ。

…楽しかったな。

誰かと帰っても途中で会話無くなって気まずくなるだけだから。

「んじゃ、玲ちゃんまたね!ちなみに俺C組だから!」

「あ、神崎君。」

「ん?」

「風船、取ってくれてありがとう。またね。」

あ、まずい。入学式始まる。



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