攻略難関なイケメン君。
「声でかいな、あいつ。」
「ぶっ、つーか見ろってなんだし。」
指をさした方にあたしは注目した。
そしてその方向を辿っていくと・・・。
・・・ってあれ?
嘘・・・でしょ。
こんなことって・・・。
そこには屋上で会ったイケメン君が無残にも頭から水をかぶったように濡れている姿があった。
まるで、昨日の姿と全く変わらない。
・・・突っ込みどころが多すぎる。
なんで濡れてんの?なんで学校来てんの?
気づいたらあたしは呟いていた。
「奈々・・・。」
「ん?」
「昨日会った人だわ・・・。」
「夢ででしょ?」
「違うし・・・。」
「なんで来たんだろーね?」
「うん。でも思っても無いチャンスだね。」
「確かに。まぁ、頑張って。」
彼は水をかぶりながら自分の席へと向かっていた。
そう、あたしの隣に。
周りの男子と言えば、ある人は何故か彼を見てニヤニヤしいてて、またある人は彼に目もくれず他の奴らと話している。
どうやら皆、彼を大歓迎と迎えようとしているわけではないみたい。
不思議そうにあたしは首をかしげ、尋ねる。
「どーして、誰も彼に話しかけないの?」
「はぁ?誰があんな奴に話しかけんの?初めて見たけど噂通り超キモいし。」
あんまり奈々が当然そうに語るのでなんか少しムッとした。