彼の薬指
『これを初めて…?作ったの?』


「たまたまだけどね」


『すごいです。でもどうして作ろうと思ったの?』


「学生の時かな?当時付き合ってた彼女が
 お酒をあまり飲んだことが無くてね」


「そこで高木さんが、彼女の為に飲みやすくて甘めのモノを作ってあげたってコトですか」



バーテンの言葉に、静かに笑い返す


「そう。大人になりたての彼女にね。
 彼女が二十歳になった日だったかな」


「キザですねぇ!!」


おどけてみせるバーテン

困ったように、彼は笑った



『でも、素敵ですね。喜んでたでしょう?』



わたしの問いに、彼は遠い思い出を手繰るように



「そうだね。とても喜んでた」



と微笑んだ
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