彼の薬指
白い看板の、子洒落たダイニングバーが見える


「ココ、食べ物がすっごい美味しいんだよ」


そういっておなかをさすりながら、美羽は扉を開ける


さっきわたしが行ったバーとはまた、全然違う雰囲気の店内

中は広くて、同じ年代の人が沢山いた



カウンターの奥に、小さなテーブル席がいくつか並んでいる
わたしと美羽はそこにあるひとつの席に行き、座った


店員の男の人に、ビールを2つ、グラスで頼む




「はーっ、今日は忙しかったなぁ」

ため息をつきながら、それでも嬉しそうに笑う美羽

『誕生日って、あんなに沢山花束とかくるんだね。ビックリした』

「人気者はタイヘンなんだよーっ」

冗談っぽくニカッと笑ってみせる美羽
バッグの横に花束が置かれていた


『それだけ持ってきたの?』

「あ、うん!これはねー、特別なんだ」

『好きな人から、とか?』


そういうと、美羽は少し照れくさそうに笑い、淡く色付いた花束を眺めた


「今付き合ってる人。最初はお店に来てたお客さんだったんだけどね」

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