レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

混沌…聖

泉が出て行った後、俺は暫く玄関で立ち往生していた。




きっと、泉は連絡出来ないだろう。

自分も復讐の片棒を掴んだと思っているから。


俺が全部悪いのに、泉は憎むことをしなかった。




伊織…。


お前が泉に惹かれた理由なんとなく分かったよ。







伊織には泉しかいないよ。

ごめんなんて謝る気更々ない。

悪いことしたのかもしれないけど、後悔なんかしていない。


泉をもっと、ぐちゃぐちゃにしようと思えば出来たのにしなかったのは。




俺にもまだ良心が残っていたのかな。





あんなに引き裂こうとしたのに。



今は二人がくっついたらいいって思ってる。




泉って不思議な奴。

本当に、不思議。



指切りをした小指を見つめて、微笑むと俺は玄関から部屋へと戻って行った。
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