レンタル彼氏 Ⅱ【完結】

伝う涙…美佳

大きなカバンを持って、私は住んでいたアパートを見上げた。




今ある荷物はこれだけ。
全て捨ててしまった。



何もかもを捨てて。



私は社長と行く。



大好きな、社長と共に生きて行く。





……………伊織さえも、捨てて。








私は、私の道を生きて行く。



新しい人生のスタートに過去を持ち込むなって彼が言った。






友達も。

住んでいた家も。

お気に入りの洋服も。

全て全て。



捨てるしか選択肢がなかった。


弱くて、ごめんね。
…あんな人を好きになってしまったのは私なの。



お姉ちゃん、失格だね。




…伊織はきっと、泣けないだろうから代わりに私がたくさん泣いておくよ。




どうか、生きて下さい。

どうか、彼に幸せをあげて下さい。




どうか。
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