レンタル彼氏 Ⅱ【完結】
「ねえ、伊織?」


「……何?」


「伊織は人をもっと信じないとダメよ?」


「……また、裏切られるじゃないか」


「それでも、よ」


「傷付いたらどうするの?」


「人を恨まないの」


「どうやったらそんな事出来るの?」


「怒りは怒りしか生まないよ?」


「…我慢するの?」


「耐えるのよ、耐えたら必ず伊織に笑いかける」


「誰が?」


「…私と、あの子」


「…あの子?」


「そう、あの子」


「わからない、教えて」


「わかってるはず、もう伊織はわかってる」


「わからないよ、わからない」


「嘘」


「あっ、美佳!美佳!」



消えていく美佳を掴もうと、手を伸ばす。
そのまま、俺は机の脚に頭をぶつけた。


「…………いてぇ」


頭を打ったじゃん。
てか、何回目だよ、この夢見るの。


………まじやめて欲しい。


目覚めわりぃな、畜生。

二度寝も出来なさそうだったから、俺は起き上がると一度伸びをした。


それから、昨日買っておいたペットボトルのお茶を一気飲みする。
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