レンタル彼氏 Ⅱ【完結】
「伊織」


「……だからって…こんな真似…」



自由なんかじゃない。

こんなの、俺の望んでいた自由じゃ。


「好きだった」


膝をついて、もがく俺にりさの言葉が降り掛かる。
顔を上げて、りさを見た。

りさは眉をひそめて、悲痛な声を出して俺に言う。


「好きだった。
好きで好きでしょうがなかった。
伊織を独り占めしたかった。
だけど、出来ないこともわかってた。
だから…解放したの。
誰のモノにもならないように」



言葉が。



出なかった。



りさは。
こんなにも俺を愛していたんだ。


「……それでも。
私のモノにしようと動けないのは…どうしてかしらね?」


りさはそう言うと、綺麗な頬に涙を伝わせた。


「……知ってた?
私、本当は醜くて汚かったの。
伊織が私以外に笑いかけてる姿、想像したくなかったの」


そうやって、自虐的に笑うりさに胸が締め付けられた。


それからりさは、ぽつりと。

「ごめんなさい、好きになって」

そう、呟いた。
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