レンタル彼氏 Ⅱ【完結】
「久しぶりね、本当。
最初綺麗になってたからわからなかったわ」


ふふっと笑いながら言う鈴恵さんに、私はあたふたしながら否定する。



「きっ、綺麗だなんて…」


「あら、本当よ?
色々な経験が女を綺麗にさせていくの。
泉さん、色々あったんでしょう」


「……っ」



鈴恵さんは本当、凄い。

鋭い。



「今日はどうかしたのかしら」


「あっ、あの、私大学来年卒業するんです」


「そうなの?おめでとう」


「それで…ここで働きたくて…だけど、その前に答えを言わなきゃいけないと思って」


「答え?」


「はい、可哀想に思うかどうかの答えです」


「……そうね、答えは出たのかしら?」



私は鈴恵さんの言葉にゆっくりと頷いた。

私なりの、私が思った答えを言うんだ。




もう、可哀想だなんて思わない。

だって。


子供たちは、聖は、伊織は。


今を生きている。



一生懸命に。



「…私、平凡なんです」


「え?」


「家族も、生き方も、何もかも。
平凡で普通なんです」



黙ったまま、鈴恵さんは私を見つめる。
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