レンタル彼氏 Ⅱ【完結】
私は絡ませた手を強く握りしめる。


「………伊織」


愛しい人の名前を、そっと呼ぶ。


伊織はゆっくりと私の顔を見る。




「………大丈夫」


「…え?」


「……私のことは信じていい。
絶対絶対、いなくならないから」


「……………」


「大丈夫、大丈夫だから」


「……っ……」




ツーっと、伊織の頬を涙が伝う。



「…………伊織、好き」






静かに、瞼を閉じると。




私は。







伊織の唇にゆっくりと自分の唇を合わせた。






何もかもがうまくすり抜けて。


何もかもがうまく交わる。





そんな、世界で。





私達は出会ったよね。






ねえ、伊織。




信じ続けたら、叶うんだってこと。




少し、信じてくれたかな。




伊織に必ず会えると思っていた私。




今、叶ったでしょう?



六年も経ってしまったけれど。





信じ続けたから。





叶ったでしょう…?






神様の悪戯みたいな偶然の出会い。




だけど、これは。





私達が起こした紛れもない奇跡だよ。
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