思い出のきみ
「どうして、約束を守ってくれないの?」


「約束?」


「私の事は早く忘れて、前に進んでっていう約束」


「約束をしたわけじゃない。前に進もうとはしたけど、沙依がいなきゃ無理なんだよ。」


沙依は、とても悲しそうな顔をした。


「修ちゃん。私は傍にいられないの。いたくても、無理なの。修ちゃんは生きてるんだから、進まなきゃ。」


「オレをそっちの世界に連れて行ってくれないか? 」


沙依は怒った目でオレを見つめた。


「修ちゃんが、そんな弱い人間だったなんて。そんなの私が愛した人じゃないよ。私が愛した中田修平は、強くて優しくて、面白くて男らしい人だったよ。」


「オレは弱い人間なんだよ。沙依がいないと強くなれないんだよ。」


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