ユビキリ。


首元を探ってネックレスを引っ張り出した。



祭りの屋台で売ってる、

安っぽい指輪が鈍く光る。



翔がいなくなる前の年、
私達は結婚式を挙げた。



テレビで見たのを見様見真似でやっただけなのだけれど。

誓いの宣誓だって、

なんだかあやふやで。



けど、真剣だった。



大人になったらちゃんとしたの買ってあげるって言った翔は、
この指輪をくれた。


あの時は、

形見になるだなんて思わなかった。


当たり前だ。


まだ子供なのに、
死んじゃうだなんて知らなかった。


違う。


翔はまだ生きてる。


指切りした。


大人になっても、

ずっと一緒だって。


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