2つの魔女
「勝手なこと、言わないで! じゃあテストに出る問題を当てたって言うのは? あたしが問題用紙を盗み見たとでも言うの?」

「テスト範囲なんて前もって先生達から教えられるし。過去問や担当の先生の出題傾向を考えれば、外れることの方が珍しいわよ」

そこまで言って、わたしは肩を鳴らした。

あんまり長く話すの、得意じゃないしな。

しかし目の前の彼女は歯を食いしばり、わたしを鬼のような形相で睨み付けている。

握り締めている拳も白く震えているし、激昂しているな。

「怒りを買うのを承知でもう一つ。呪いをどこで学んだか知らないけど、逆凪という言葉を知っている?」

「さか…なぎ?」

ふと彼女の表情が緩んだ。

はじめて聞く言葉なんだろうな。

「呪術者が呪いや術を使った後、必ず使用者に返ってくる災いのことを言うの。それは本に載っていなかった?」

「しっ知らないわよ! そんなこと!」

「あっ、そう。それでも人を不幸にする術や、また探し物を当てる術…これはまあ盗みとの半分ずつだったんでしょうけど、使用していたのよね? そろそろそのツケ、払う時なんじゃない?」

術というものは一日にそんなに多く使えるものじゃない。

特に人間にかけるものであれば、一日一度が限度。

ゆえに学校内での紛失の件や、テスト問題の予想は自力でしていたんだろう。

そこまで彼女の力は強くないから―。

「そんなこと言って脅かしているつもり? あたしにはコレがあるから大丈夫なのよ!」
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