二人の王子さま
ありがとうございます。と、言って水を頂く。

「おいし・・・」

喉が潤う。
生き返った気分になる。


「あの・・・」

あたしが切り出すと、その人ははい?と返事をし、ベッドの横にあった椅子に腰をかけた。

「あたし・・・あの、動けるようになったらすぐに出ていきますから・・・
すみません、それまで置いていただけたら嬉しいのですが・・・」

って、なに言ってるんだろうあたし。
助けてくれただけでありがたいのに。


「王子があなたを見つけたのです。
私は何も言えません。王子次第になってしまいますが・・・」


「王子?」


「はい。アキラ王子。ご存知ないですか?」


「・・・えっと・・・はい・・・」

また春さんみたいに、別の国の者だって冷たい目をされてしまうのかな。

「そうですか。あなたを助けたのはアキラ王子。
私は王子のお付きをしております、ダイアと申します」

にこりと微笑みながらそう言うと、また、コップに水を注いでくれた。


「あ、あたしは帆香と申します」



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