みるくとりんご[短編]
千葉は屋上に居た。
そして千葉は冷たい目でこちらを見て、私に鋭いナイフの刃を向けた。
だけど、そんなの怖くはない。

だって君は、泣いてたから。




みるくとり【ん】ご




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「なんでついて来んの?」



未だに、ナイフの刃先を私に向けながら、千葉はそっと呟く。




「じゃあ何で、あんたは泣いてるの?」




何で、そんなにも顔を歪めるの?





「……お前がわかんねぇ」



「は?」




「お前と居るようになってからおかしくなる。
そもそも何でお前は俺のことなんか信じる? なんで疑わない? なんで追いかけてくる? なんで憎まない?」




千葉は、唸るようにそう言って、ゆっくりとナイフを下ろした。
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