愛のうた。
「二度と逢えない。」沙知side
3時50分・・・
4時30分・・・
5時10分・・・
7時5分・・・。



「なんでこないの・・・?」

これっておかしいよね??



私はまた携帯のリダイヤルボタンを押す。

電池がもうない・・・。


ープルルルル



≪おかけになった電話番号は
電波が込み合ってるか、
充電が無いためつながりません≫


電話も繋がらない。

バイト先だって教えてくれなかった。




動いたら行き違っちゃうかもしれない。

私は時計台で待つかしかない。



「さむ・・・っ」





気温は夜になるにつれ急激に下がってく。

空は真っ暗で星が光ってて。


寒くて、心が体が凍えそうだ。



私は近くの自動販売機で温かい缶コーヒーを買った。




必死に手を温める。

でも手がかじかんで感覚がないため、
プルタブが開けられない。




いつもシュンが私の小さな手を握ってくれるのに。
抱きしめてくれるのに。



なのに、なのに・・・。


シュンは隣に居ない。




「シュン、どうしたの?」

ぽろぽろと涙が零れ落ちる。



まだ分かんないよ。

サンタさんみたいにサプライズって、
来るかもしれないよ。



いい方に考えたって、
周りはカップルだらけで幸せそうで。


その空気に押しつぶされて、
余計に髪だが溢れて。



体も心もどんどんどんどん冷えちゃうよ。

電話も出てくれない。

楽しみで仕方がなかったクリスマスが、
哀しくて仕方がないよ。



もう、嫌だ・・・。


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