Sugar × Spice 〜カレは年下幼馴染〜




ーーーーーー……


私と涼は、一緒にお母さんたちが待つ控え室に戻った。


お姉ちゃんたちは着替えてるのか、部屋にはうちのお母さんと涼の両親の姿があった。


「あら咲、どこ行ってたのよ。涼くんありがとねぇ、探してきてくれて」

「うん…ごめんなさい」


私は素直に謝った。


涼は何もなかったように、テーブルに用意してあったお菓子をつまむ。


なんで…

なんで涼はあんなことして、そんな平気でいられるのよ…


本当生意気なんだから……


私は涼を恨めしそうに睨んだ。



「でも本当良い式だったわね。

由美子さん、良かったわね。早い内に式だけでも出来て」


優兄ちゃんと涼のお母さんが片付けながら言った。


「私はこんな慌しくしなくても、子どもが無事に生まれてからにしたらって言ったんだけどねぇ」


「まぁいいじゃない、本人たちが決めたことなんだから。

次は咲ちゃんの番ね」



「えっ?!わ、私?!」



おばさんがいきなり私に話を振り、私は驚いて声をあげた。



「この子は全然、そういう話ないからねぇ。

涼君、良かったら咲のこともらってやって?」


「ちょ、お母さん!」


「あら、良いわね。

美菜ちゃんだけじゃなく咲ちゃんもお嫁に来てくれるなんて、うちは大歓迎よ。

ねぇ、お父さん」


おばさんがおじさんに同意を求めた。


「何言ってるんだ、涼はまだ高校卒業したばかりだろ」


「あら、でももう結婚出来る年よ?」



「も〜、変なこと言わないでよ」



私は3人の間に割って入った。


そんな、私だってまだついて行けてないのに、結婚とか勝手に進められても……


「涼だってまだ学生なんだし、それどころじゃ…」



「あ〜…俺、そのつもりだから」


私の言葉を、涼が途中で遮った。

お母さんやおばさんが、涼に視線を向ける。









「咲は俺が嫁にもらうよ。ずっと前から、そう決めてるから」




「ちょ、涼!」




涼の発言に、お母さんたちが歓喜の声をあげたのは言うまでもない。



私はこの、生意気な幼馴染をキッと睨んだ。


私の視線に気付くと、涼はふっと微笑む。



そして声を出さずに、こう言った。













“覚悟しとけ”














…きみはまるで、甘いスパイス。




涼の初めてのキスは、とっても優しくて、お砂糖みたいに私の体に溶けていった。



それは、これから始まる刺激的な恋の味。






私たちの、恋の始まり。








-END-















< 38 / 39 >

この作品をシェア

pagetop