だから、笑わないで。
―第九章―見えない糸



今日の天気はあいにくの雨。
朝から色とりどりの傘がやってくる。
杏子はピンク色の可愛らしい傘を綺麗にたたんで傘立てにたてた。




「……あ、杏子。おはよ」



下駄箱であったふたりは横にならんで教室まで歩いた。




「え?今日英語あったの?」
「うん。予習もあったよ」
「嘘っ!わたしやってない! 」
「俺のノート貸すよ。急いで写しな?」
「ありがとーっ!ごめんね、リンくん!」
「………全然いいよ…あれ…」
「え?」



ふたりはしゃべりながら、あることに気づく。



「…………レン……きてない…憂も…」
「……そういえば…そうだね。あとからくるんじゃない?」
「…………そうだよね」




リンは不安になりながらも席についてレンと憂を待った。
だけど、最後までふたりの席が埋まることはなかった。






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