そして優しい~番外編~
美雪はちょっとだけ間を置くと……。
「教えない」
そう言った。
「はぁ? なんだよ、それ」
「だって、せっかく教えてもらったのに……涼に話すの、もったいない」
「『もったいない』って……今後の事もあるだろ? 俺が気を付けなくちゃいけない事だったら」
「だって、涼はもうすぐここから居なくなるでしょ? 気にする必要なくなるじゃん」
ドキッ!
そうだ、まだ美雪には話せないでいたんだった……4月からもこの学校に居られるようになった事を。
俺は罪悪感から、思わず視線をそらしてしまった。