君が恋に落ちるまで。




静まり返った室内は、
外よりも寒く感じられた。
親のいないあたしにとって
家に誰もいないのはもう
当たり前のことだけど、




それでもやっぱり、
たまに寂しさを感じる。




男好きと女好きが結婚して
離婚しないはずがない。
”初恋”を夢見ていたあたしにとって
あの人たちは悪影響だった。




恋愛に対しての夢は淡いピンク色。
だけどいつだって両親は黒色。
その頃からあたしは色んなことから
目を逸らして、耳を塞いでいた。




そして、癖になってしまった。




一人になって清々した。
毎日が幸せにも感じられた。




けど、ここ最近はもうずっと
頭を抱えてばかりで、
鏡に映る自分の首筋に残る
赤い痕にどうしても目がいってしまう。




目を逸らせないほどに、
もう、あたしの頭の中は
彼で埋め尽くされていて。






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