君が恋に落ちるまで。
「 ・・・・け、い・・・ッ 」
泣きながら愛しい人の名前を
呼び続ける彼女は綺麗だった。
ただ直向きに、彼を愛していた。
それは本当に”愛”なのか、と
彼女に聞こうとした自分に
嫌気が差した。
「 いいよ、目を瞑っていて 」
この子は何も悪くないだろう。
彼と何があったのかは知らない。
ただ、”フラれた”と。
こんなに傷ついてもまだ
彼が好きなのか。
「 ・・・瑞穂 」
名前を呼べば、手を伸ばしてくる。
小さな肩を抱きしめながら
───────────俺なら、傷つけないのに。
そんな、くだらないことを思っていた。