君が恋に落ちるまで。




「 ・・・悠也さん? 」


「 ・・・いや、ごめんね。
  少し気になって・・・ 」




前髪をかき上げて苦笑する
悠也さんは、本当に申し訳なさそうに
”ごめんね”ともう一度謝った。




「 いえ、いいんです 」


「 ・・・・え? 」


「 悠也さんなら、話せますよ 」




何を言っているんだろう、と
思いながら、それでもそれが
あたしの本音だった。




嘘をついてしまったことに対しての
罪悪感と、同じ痛みを知った彼への
安心感と、少しの好奇心。




あたしも気になっていた。
彼が、どんな人と付き合っていたのか。




「 瑞穂ちゃんは、優しいね 」


「 え?・・・悠也さんの方が・・ 」




断然、優しいと思います。と
言い終わるか終わらないかで
さっきまで向かい側に座っていた
悠也さんが目の前まで来て、
チュッ、とキスをされた。






< 74 / 245 >

この作品をシェア

pagetop