欠点に願いを





こんな良い奴なのに。
こんなに笑顔が素敵な奴なのに。
友達ができなかったとか、色々と間違ってる。

本当は雪にはたくさんの友達がいて、いつも人気者で。
俺は話す人すら一人もいないのが、きっと正しいんじゃないのか。


「……さてと。宏樹、分かんないトコ教えてよ。まずは数学から」


雪は、キャラメルを一つ噛んでから、数学の教科書とノートを開いた。
それを見て、俺は思わず顔を青くする。


「……俺、数学が一番苦手なんだよ」

「マジで? 僕も数学が一番苦手だよ」


俺もキャラメルを一つ噛んで、自分の数学のノートを広げる。
雪に教える必要もあるし、俺のノートには計算のポイントとかも色々と書き込んである。


「……ってか、宏樹って得意な授業あるの?」

「体育」

「……体育以外で」

「…………技術?」

「自分で疑問文にしてどうするの」


ボケキャラの雪に珍しく突っ込まれた。




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