欠点に願いを





午後になると、中学からの友達・後藤咲奈(ゴトウ サキナ)が遊びに来てくれた。


「澪〜、元気してる〜?」

「元気してたら、こんなトコでくすぶってないけどね……」


そう返事すると、咲奈は苦笑した。
咲奈は私とは違う高校に進学したが、今でも仲が良い友達だ。
咲奈は私が不登校になった事を責めないし、無理に学校に行かせようともしない。違う環境にいるにも関わらず、物分かりが良くて助かっている。


「…にしても咲奈、今日は来るの早かったね」

「今日は中間試験だもん、午前中しか無いよ」


壁のカレンダーを見たら、今日の日付は10月19日になっている。
確かに中間試験の季節だ。
私の通う学校では、これから文化祭になだれ込む筈だが……、正直あの連中と何かをするのは嫌だ。


「ってか澪、聞いて。今朝電車乗ってたら、隣りのおじさんに右足を三回も踏まれたんだけど」

「…何それ。そんなに混んでたの?」





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