引っ込み思案な恋心。-3rd~final~





「拓ーーっ!頑張ってー」






私は拓に届けとばかりに声を上げて応援した。





拓はバトンを受け取った途端に目を見張る程のスタートダッシュを見せた。





足の回転が他のアンカー走者と全然違う。





思わず「これが全国レベルか…」とため息が漏れるくらいのすごさだった。







そのまま拓はスピードを徐々に上げて行き、トラックを4分の1走ったところで上位3人に追いついていた。






「すごい、拓!!このまま抜けるよ」



「あの速さだと余裕で1位になれそうだな」






倉本くんも感心した表情でレースの様子を見守っていた。






そして……トラック半周を過ぎた所で拓が3人を一気にかわして1位に躍り出た。






「やった!1位だ…!」



「瀬川くん、ホントすごい!!」






拓が1位になった途端、うちのクラスの応援テントから大きな歓声が沸いた。





私も隣にいたあーさんと手を取り合って喜んだ。






拓…すごい……。



カッコ良すぎるよ…!








そこからはもう拓の独壇場だった。





3人を抜いた後、拓はまだまだ最後の追い上げで猛ダッシュを見せつけ、その差をどんどん広げていく。





全校生徒が拓のその走りに注目し、所々拍手が沸き起こるくらいみんなが魅了されていた。





そして…、一瞬にも見える走りを見せた拓はそのまま一番にゴールテープを切った。





< 208 / 281 >

この作品をシェア

pagetop