引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
10☆面接パニック!

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――










年が明けて、3学期が始まった。





外は相変わらず寒くて、日向でも北風が吹くと凍えるほどの1月中旬の昼下がり。





私は県立A高校の、とある教室の前に置かれた椅子に座っていた。






「それでは、次の人ー。入って下さい」



「はい!」






目の前の教室の入口から先生が出てきて生徒を呼ぶと、私の隣の椅子に座っていた男子生徒が返事をしながら勢いよく立ち上がった。





ああ…



ついに私が次か……。







そう。



今日はA高の推薦入試が行われている。





拓のスポーツ推薦の試験は昨日行われて、スポーツテストも面接もとりあえずは上手く行ったと昨日の夜拓からメールがあった。





そして今度は私の番。





でも…順番が近付く度、緊張でドキドキが増してくる。





冬休みも学校に来て、何度も面接の練習をした。





だけど、やっぱり本番は違う。






午前中は作文試験をやったけど、周りを見ても当然ながら違う学校の人達ばかり。





私と違う制服を着ている人を見る度、みんなが優秀に見えてしまう。





…実際ここにいる人達は校内選抜を経て推薦試験に臨んでるわけだから、優秀ではあるんだろうけど……





合格できる自信がなくなりそうになる。






少しだけ焦りを感じながら、面接の練習で聞かれた事を思い出していると、さっき教室に入っていった男子が緊張から解き放たれて少し安心した表情で出てきた。





うわっ。



意外と面接終わるの早い…!






するとまた入口から先生が出てきた。






「それでは次の人。どうぞー」



「はっ……、はい!」





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