引っ込み思案な恋心。-3rd~final~
「柚こそ。今からでも遅くないんじゃない?寄せ書きもらってくれば?」
「…正直、あまり話したことない人の所に行くのって勇気いるんだよね……」
「柚ってこーゆーの弱いよね。何かちょっと笑えるし。あはは」
「ええ?笑うところなの?」
「みんな柚の素性知らなすぎるよね。単に『大人しい女子』って思ってる人が大多数なんじゃない?実はしっかりしてるところもあるし、面白いところもあるのに」
「そんなこと言うの、あーさんだけだよ…」
あーさんとは3年1組の女子の中では一番よく話してたから、すっかり色んなところを見られてしまった。
まさか、そんな風に思われていたとは。。。
「あっ、蘇我と柚発見!!お前ら寄せ書き書いて!強制な〜」
「あ、拓。ホントに来た」
「さすが瀬川くん。すでに書く所ないんだけど…」
拓が私の前に卒業アルバムを開いたまま差し出してきた。
開いていた寄せ書きページを見ると、他のクラスの人からもメッセージをもらったらしく、私達が書く所を探すところから始めないといけないくらいだった。
「おーい、拓!俺のも寄せ書き書いて〜」
「おうっ!じゃー書けたらもらうから。よろしくー」
「え?ちょっと、拓!?」
拓…、すぐに別の男友達の所に行っちゃったよ。
相変わらず忙しいな。。。
拓に寄せ書き、か。
改めてちゃんとメッセージを…とか言われると、ちょっと照れちゃうかも。
私はちょっと考えた末、下の方の少しだけ空いていたスペースに拓へのメッセージをつづった。
――
―――――