蜜色トライアングル【完】



恐る恐る尋ねた木葉に、冬青は珍しくにこりと笑った。

完璧なまでに美しい笑顔だが、もともと整いすぎている顔に凄みが増し、見る者を凍りつかせるような迫力がある。

木葉はぞくりと背筋が強張るのを感じた。


「無理やりにでもわからせる」

「……」


予期した答えに、木葉はハハと内心乾いた笑いをもらした。

兄には確かにその力がある。

社会経験の面でも、知識でも、力でも……。

いつでも兄の判断は正しい。

何か問題があった時、兄は根本の部分から解決しようとする。

それは頼もしい反面、場合によっては危険でもある。


「お兄ちゃん、ありがとう。だけど……」

「……?」

「由弦まで、病院送りにしないでよ?」


< 118 / 222 >

この作品をシェア

pagetop