蜜色トライアングル【完】



木葉ははーっと肩を落とした。

冬青は冷静だが、寛容というわけではない。

昔、公園で遊んでいた木葉が別の道場に通う子供にいじめられた時、冬青はその道場に出向き、すべての門下生を剣に臥させて戻ってきた。

いわゆる『道場破り』というやつだ。

もちろん父がその後、謝りに行ったのは言うまでもない。

冷静だが、たまに何をするかわからない――――。

由弦のせいでなどと言おうものなら、由弦を半殺しにするかもしれない。


「そろそろ支度するかな……」


今日は教室の後、圭斗と一緒に病院に行くことになっている。

教室が終わったらすぐに出れるよう、準備もしておかなければならない。

木葉は雑貨を片付け、教室の準備をするべく道場へと向かった。


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