のたお印の短編集
外道武士×囚人?
街の暗がり。

「くぅっ…はぁっ…はぁっ…」

法外 猛流(ほうがい たける)は壁に身を預け、胸を掻き毟りながら呻く。

咳込んだ拍子に、吐き出したのは赤黒い血。

ドロリとした粘液のような血が、壁を伝って流れ落ちていく。

呪いによって肉体を蝕まれている。

粘りつく血液、真紅ではない血の色がその証だった。

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