のたお印の短編集
運転手×敗残兵
終戦後も、己の部隊が全滅した事を知る事なく、鬱蒼とした密林の中に潜み続ける。

かつての大戦の頃には、実際にあった話だ。

「で…」

矢沢 省吾(やざわ しょうご)は攻撃ヘリを撃墜した事で用済みとなったRPG-7ロケットランチャーを投げ捨てる。

「俺にそんな昔話を聞かせて、どうするつもりだ」

首を絞めるダークのネクタイを片手で緩めながら、足元に横たわっている工作員の胸倉を掴む。

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