愛をくれた神様
ノブシの話・帰ってきたハガキ

22歳の僕は、毎日に疲れていた。

たったひとりの肉親である父は、長い間家をあけている。仕事だと行っては家を何日もあけ、たまの休日にひょっこり帰ってきては作業着を洗ったりする。
仕事をしているのかいないのか、家にいるのかいないのか、よく分からない人だった。
ここに引っ越して来てから、この家はおかしくなった気がする。

ため息をついて、帰路につく。仕事がいっぱいいっぱいで彼女にも会えない。メールも返してあげたいが、返す文が思いつかなかった。


たぶん僕たちは破局を迎えるのかもしれない。でも、これでいいのかもしれない。 そんな投げやりな気持ちだった。


ポストをさぐり、郵便物をチェックした。公共料金、 携帯料金、そして最後に見慣れないハガキがあった。


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