愛をくれた神様

「聞きたいことがあるんだけど。」

僕はそう言って、かばんをあけると、例のはがきを取り出し、母に見せた。

「このハガキ、覚えある?。」

母はん~?と首をかしげ、僕からハガキを受け取ると、しけしげとそれを眺め、こう言った。

「私はこれ自体は見覚えないけど、でもこれは和志の字ね。」

「え~っ?!。」


僕は驚いて言った。差出人の住所は、兄が死んでから引っ越した今の住所だからハガキの主は兄では絶対にないはずである。

 日付も、前住んでいた近所の宛先の住所も、実は偶然で、前、家に住んでいた人なのではないかと考えていた。何か覚えはないか、大家さんに聞いてみよう、などと考えていたのだ。

 もっとも、母にハガキを見せようと提案したのは、兄だと確信し続けている彼女だったのだが。

なので僕は、拍子抜けした。

「何驚いてるのよ。間違いなく和志の字よ。赤子の息子に字を教えたのは私よ。間違えるわけないじゃないの。」

失礼ね、と母がため息をつく。


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