愛をくれた神様

家につくと、めずらしく父が帰ってきていた。

台所のテーブルに、吉野家の牛丼が3箱重ねて置いてあり、彼女の作ったパスタの残りが入った鍋が空っぽになっていた。やがて、父が風呂場から出てきた。

「おかえり。」

僕はいつものように振り返らないままあいさつをし、父にお茶が入ったグラスを黙って差し出した。 父は無言でそれを飲み、パンツとランニングといういでたちでソファーに横になり、つけっぱなしのテレビの前に座った。久しぶりに見る父は、ずいぶん小さくなった気がした。

テレビの光に写された、老けた父の横顔を見つめる。
思わず、兄の面影を探していた。

「あのさ。」

ハガキの事を、どう切り出していいか、決めてないまま、前振りが口をついて出ていた。
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