廻音
意地を張っていた。
こんなにも恋をしていたなんて認めたくない、と子供じみていた。

きっかけは例の事件後、姉の憔悴を間の当たりにしたからだ。
動き出す勇気をくれたのは、少なからず「二人」でもあるだろう。

「もう一度話がしたい。」

たった一通のメールで、彼は直ぐに私の元へやって来た。

待ち合わせ場所、息を切らしてやって来た彼は、
「馬鹿みたいだけど、情けないけど、離れて廻音への愛しさや、こんなにも恋してるんだって解ったんだ。
もう一度俺を信じて欲しい。」と恥ずかしいくらいの大声で言ってのけた。

だけど、手で顔を覆ったのは、恥ずかしかったからじゃない。

嬉しさが爆発したんだ。
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