廻音
ゆるりと白い天井を仰ぎ、再び瞼を閉じる事で視界を遮る。

8月14日、と無意識に頭の中でスケジュールを思い浮かべる辺り、私の気持ちは決まっている様だ。
少しも抵抗が無いと言えば、嘘になるけれど。

そうだ、と思い出して目を開ける。
「追伸」にも書いていた通り、そして自身でも確認済みの為か、
もう一通の手紙は、すんなりと受け入れる事が出来た。

引き抜いた封筒の受取人は、やはり「月城 輪廻 様」。
姉で間違いはない。

「私の判断で」というのは、「渡す」か「処分する」かという事だろう。

苦しい恋文は少からず私を動揺させていた。
承知していた筈の彼の恋慕は、目の当たりにすれば一層重く、
抱えきれるのか、または処理していけるのか気を揉むけれど
「私に伝えたい事」が気掛かりなのも事実。

取りあえず姉宛ての、本当の、恋文は
「保留」する事にした。

もう一つの気掛かり。
14日の事を來玖さんに説明する事に、一番気が重たい。
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