お前が好きなのは俺だろ?
*諦められなくなる‐未来Side
――『今からデート、しよっか』
そんな言葉に浮かれたのは最初だけ。
だって昨日自分で言っちゃったんだもん……
――『デートしたら、俺のこと諦めるの?』
――『……ん』
自分で頷いて肯定しちゃったんだもん……
きっとこのデートで一ノ宮君はあたしを本当に妹としか見なくなる。
きっと……
でも、それでも……
「ほら、行くぞ」
「ちょっ、ちょっと待ってっ!智香に連絡……」
「だからあいつらはあいつらでよろしくやってるだろ」
そんな無責任なっ!!
「弘也君から智香を呼び出すように頼まれたんだから、ちゃんと智香に事情を話さないと!」
そうしないときっと明日とんでもない目に……
ゾクッとする背筋。
「はぁ―……分かったよ。すぐにすませろよな」
しぶしぶと頷く一ノ宮君を横目に、智香に電話を掛けた。