だいすきの伝え方
思わず尊敬しまいたくなるくらいの
大声を出している先輩達が私の横を通り過ぎた。
ふわっと香る香水の匂い。
くりくりにまかれた
綺麗な巻き髪をしている先輩達に囲まれている1人の男子生徒。
笑顔はなく、
むしろめんどくさそうにその間を歩いていく彼は、
不意にこちらを振り向いた。
たった一瞬。
振り向く、というよりも
ただ目をやっただけというのが正しいくらい、
ほんとに短い時間だった。
それなのに高鳴る心臓。
先輩達が叫んでいた陽葵という言葉が、
頭の中で、ぐるぐると回る。