蜜色トライアングル ~String of origin

3.独身終了




夕刻。


木葉は海が見えるレストランで、由弦とともに食事をしていた。

夕陽の残照が海を照らし、とても美しい。


海を臨むテーブルの上には、キャンドルがひとつ。

テーブルの端に飾られたハイビスカスやブーゲンビリアが、南国情緒を感じさせる。


「……」


由弦がこんなに雰囲気のある店をセレクトすると思っていなかった木葉は、落ち着かない様子で辺りを見回していた。

高層ビルのレストランには圭斗と何度か行ったことがあるが、こういう海沿いのリゾート的なレストランは初めてだ。


「どうした?」

「……ううん、何でもない」

「食べなよ、ほら。木葉、海老好きだろ?」


言いながら、由弦は木葉の皿に手際よく料理を取り分けてくれる。

……なんだか別人みたいだ。


これまでは木葉が作った料理を『好き嫌いはダメっ』とか言いながら木葉が由弦の皿に分けていたのだが……。

今は全く逆だ。


「……」


まさに、デート。

これはデート以外の何物でもない。


< 101 / 122 >

この作品をシェア

pagetop