蜜色トライアングル ~String of origin



「……由弦……」


もし、由弦の想いに流されたら……。

由弦もいつか、こんな思いを味わうのかもしれない。

気持ち悪いと言われ、まともではない道をいく……。

そんな思いを由弦にさせるわけにはいかない。

由弦の姉として、そう思う。


しかし……。

それを由弦に伝えたら、由弦は……。


「……」


木葉は目元を覆った。

――――由弦を傷つけたくない。


あの時、縋るように木葉を見た由弦に、とてもそんなことは言えない。

木葉は目に滲んだ涙を二の腕でぐいと拭った。


いくら考えても、どうすればいいのかわからない。


木葉は夜空を見上げた。

目尻から一粒の涙が頬を伝って落ちた……。


< 53 / 122 >

この作品をシェア

pagetop