蜜色トライアングル ~String of origin



「……っ」


木葉は涙を浮かべて由弦の唇を受けていたが、はっと我に返り慌てて由弦の背を叩いた。

由弦もはっとしたように唇を離し、木葉の肩に手を置く。


「悪い。つい……」

「……っ……」


木葉は顔を赤らめて由弦を見上げた。

周りの通行人が興味深そうに二人を見ている。

由弦は木葉の荷物を持つと、木葉の肩に背を回した。


「とりあえず、行くぞ」

「どこへ?」

「役所」


木葉は思わず足を止めてしまった。

由弦はくすりと笑い、木葉の肩をトントンと叩いた。


「ってのは冗談。……さ、行くぞ。まずは家だ」


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