蜜色トライアングル ~Winter Blue



「ねぇ冬青さん。あなたには木葉ちゃんを幸せにするだけの力も地位もある。なのに一体、何を恐れているの?」

「……」

「何を恐れて、彼女を縛るの?」

「……っ」

「木葉ちゃんともっと良く話し合いなさいな。二人で道を決めるのよ」


馨の言葉は冬青の心に水のように染みていく。


自分が何のために、これまで努力してきたのか……。

全て木葉を護り、幸せにするためだ。

木葉の身を滅ぼすためではない。

今更ながら、それに気が付いた。


「……助言、感謝する」


冬青は言い、立ち上がった。


木葉の姿が脳裏に浮かぶ。

――――ずっと慈しみ、幸せにしたいと思ってきた人の姿。


木葉の笑顔のために、自分はどうするべきなのか。

闇に囚われていた心に、うっすらと光がさした気がした……。


< 111 / 137 >

この作品をシェア

pagetop