蜜色トライアングル ~Winter Blue

3.ブレスレット




家具店からの帰り道。

二人は繁華街の裏手にある川に面した和食の店に入った。

黒い木梁の下には和紙のシェードが所々に飾られており、川に面した席には花と観葉植物がライトアップされている。

二人は川が見える窓際の席に案内された。

席に着くと、和服を着た女性がお通しを持って来た。


「雰囲気のいい店だね。お兄ちゃん、来たことあるの?」

「いや、初めてだ」


冬青はだて眼鏡をはずし、胸ポケットに入れた。

黒いスラックスに、濃紺の細身のシャツ。

いつもの普段着だが、冬青の均整のとれた体によく似合っている。


木葉は冬青の青みがかった瞳を見、ドキリとした。

いくら見ても見飽きない、美しい瞳……。


「豆腐料理が専門と書いてあったが……。何か食べたいものはあるか?」

「えっと……おぼろ豆腐が食べたい」

「わかった」


冬青は店員を呼び、おぼろ豆腐と、そのほかに3、4品注文した。

そのしぐさは案外スマートで、木葉は内心で驚いた。


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