蜜色トライアングル ~Winter Blue



「何があった、木葉?」


長い睫毛の下の、青みがかった美しい瞳が木葉を見つめる。

木葉がずっと昔から見上げてきた、頼もしい兄の姿。

木葉はじわっと涙が溢れてくるのを感じた。


冬青は、本当の兄じゃない……。

いつかはいなくなってしまう……。

そんなこと……


「……イヤ……」


木葉は涙で濡れた黒い瞳で冬青を見上げ、呟いた。

その様子は明らかに尋常ではない。

背筋を凍らせた冬青の前で、木葉は髪をふり乱した。


「イヤっ!!」


木葉は叫び、冬青に抱き着いた。

シーツがずれ、木葉の白い胸が露わになる。

それにも気付かず、木葉は冬青の胸に縋るようにしがみ付いた。


「行かないで、お兄ちゃんっ……」

「……木……葉……」

「私を……ひとりに……しないで……」


木葉の黒い瞳からとめどなく涙が流れ落ちる。

冬青は固まったまま、胸の中の木葉を凝視していた……。



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