蜜色トライアングル ~Winter Blue

3.そばにいて




深夜。

パタンと扉が閉じる音がした。

どうやら兄が帰ってきたらしい。

兄は木葉を起こさないよう、静かな足音でユニットバスへと消えた。


……食事はもう取ったのだろうか?


木葉はゆっくりと起き上がり、キッチンに立った。

夕飯のおかずとスープを温め、テーブルに並べる。


「……」


この時間だと兄は食べないかもしれない。

が、こんな深夜まで仕事をしてくる兄の体が心配だ。

せめて食事ぐらいはきちんとしたものを食べて欲しい。


やがてユニットバスの水音が止まり、数分後、冬青が出てきた。

その姿を見、木葉は思わず息を飲んだ。


冬青は下は部屋着だが、上半身は裸で頭にはタオルを被っている。

なめらかな肌はほんのりと上気し、均整のとれた体格が露わになっている。

タオルの下の濡れた黒髪が青みを帯びた瞳に映え、壮絶なまでに色っぽい。


兄のこんな姿を見たことがなかった木葉は、思わずぽかんと見上げてしまった。

が、慌てて我に返り、視線をそらす。


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