ウソつき恋唄
3 どかんどかん




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頭、よし。メイク、よし。

浴衣…よし。



あとは、猛くんが家にピンポン
してくるのを待つだけ。




心にふと手を当ててみる。



どくんどくんと胸が鳴る。
遅いようで、早いようで。
本当はどちらなんだろう。

きっと、誰にもわからない。
私でさえ分からないのだから。






今年は去年買った赤い浴衣。
毬やら蝶やら、大人っぽい。

小学生のとき、猛くんと行きたくて買った、朝顔の絵柄入りピンク色の浴衣とは違う。…そう。何もかもが。



着ているのはピンクではなく、
赤色の浴衣だし、


浴衣を着ているのは、
あの時の私じゃなく、



全て変わった今の私なのだ。








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