冗談ばかりの彼氏さま

あからさまにガクッと肩を落とした巽に
さらに笑う。



あぁー、こんなに笑ったの久しぶりかも。



巽といたら、すごく楽しい。
毎日が明るくって、きっと毎日が幸せなのに。


それなのに……






「……なんで、」




なんで、今ここでアイツが頭を過るの。




「結真？」



「なんで、巽のほうが面白いのに……優しいのに……一緒にいて楽しいのに……」




どうして、心の奥まで満たされていないのかな？



どうして……





「……なんで俺が遊谷じゃないんだろう、とか思った？」




「……っ！！ ちがうっ！
巽は巽で、誰とも比べたりなんてできない……」




「でも、俺といて違うんだろ？なにかが」




あたしよりも、あたしの気持ちを分かってるみたいに
巽はあたしに語りかけてくる。



その語りかけが当たってるから、何も言えなくて……






「結真」



「な、に……？」



「好き。他の誰かじゃなくて、結真だけが。ずっと」





真剣な眼差し。

あたしのゆっくり抱き締める、少し震えた腕。




巽は、冗談なんて言わない。