エゴイストよ、赦せ




彼女に出会ったのは、三年前。

冬の寒い日だった。

その頃の僕は、コンピュータ関係の仕事をしていて所属する部署が夜勤だったため、十二時間きっちり昼夜逆転した生活を送っていた。

うん、いわゆる『モグラ』ってやつ? 

そう、地中で暮らすモグラだったんだ、僕は。

だからかな、光とか太陽とかって、今でも少しだけ苦手だ。


もう限界に近かった。

何がって、すべてが。

毎日の仕事が、生活が。

息をすることが、これほどまでに苦しいものかと思うほど、身体も心も軋み軋んで、きれぎれになりそうになっていた。


何かを期待することを止め、昨日と繋がった明日を塗り潰し、凍える海の中に沈んでいたんだ。
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