エゴイストよ、赦せ
ローサは、僕の腕の中で泣いていた。
「違うの、嬉しいの。これはね、あたしの心が溢れて、零れてるんだよ」
そう言った彼女は、とても穏やかな表情をしていた。
あの日と同じように、僕をこの世界に繋ぎ止めたのは、神様なんかじゃなくって。
彼女が、ここに居て。
世界は、ここに在って。
知っていたよ。
わかっていたんだ、本当は。
いつもいつも、君に救われていたことを。
僕の胸に、その白い手を重ね、とびっきりの笑顔で彼女は言った。
「やっと、あなたにたどり着いた気がする」