【短】春風
*バスケ

自転車置き場に立つ桜の木。


歩くたびに花びらがひらひら舞う。


春の匂いが鼻をツンとさせて、甘酸っぱくて切ない。


真新しい制服に履きなれないローファー。


何度も髪の毛を触っては、落ち着きを隠せない心情。


ドキドキして、緊張も不安も、全部、全部詰まった心。


春風が体を通り抜けて背中を一つ押した──…





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